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幼馴染で好きだった女の子が……
幼馴染で好きだった女の子が……
Auteur: みみっく

1話 朝から幼馴染の女の子と登校中に嬉しい事を言われドキドキした。

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-07-26 23:37:21

 俺はマサト、中〇一年だ。小学校に入学する前から遊んでいる幼馴染の女の子がいる。名前はミサキ。性格は男の子っぽく、男子と一緒になって遊んでいるような活発な子だった。そんな彼女を、俺は好きだった。

 そんな彼女の昔の夢をいろいろと見た。

 広い校庭の真ん中で、ミサキの元気な声が響いた。太陽の光を浴びて、彼女の短い髪がキラキラと輝いている。手に持ったカラフルな羽根つきの羽根を高く掲げ、満面の笑みでこちらを向いている。

「マサト!こっちこっち!」

 少し息を切らせながら、マサトは駆け寄った。ミサキの周りには、砂埃がふわりと舞っている。

「何だよ、ミサキ」

「見て見て!今日こそ、絶対100回羽根つき成功させるんだ!」

 そう言って、ミサキは勢いよく羽根をつき始めた。パン、パン、と軽快な音が校庭に響き渡る。彼女の動きは機敏で、羽根は空中でくるくると舞い、なかなか落ちてこない。

「すげーな、もう30回以上続いてるじゃん!」

 マサトは、目を丸くして見守った。ミサキの額には、うっすらと汗が滲んでいるけれど、その表情は真剣そのものだ。

「まだまだ!見ててよ!」

 ミサキはさらに集中して羽根をつき続ける。50回を超え、60回、70回……。周囲で遊んでいた他の子供たちも、何事かと集まってきて、ミサキの様子を興味津々に見ている。

「頑張れー!」

 誰かが応援すると、他の子供たちもつられて声を上げた。ミサキは、みんなの応援を力に変えて、さらに羽根をつき続ける。

 そしてついに……。

「やったー!100回成功!」

 ミサキは、高く羽根を掲げ、両手を上げて飛び跳ねた。その顔は、達成感と喜びでいっぱいの笑顔だ。周りの子供たちからも、大きな歓声と拍手が湧き起こった。

「どうだ、マサト! やったよ!」

 興奮冷めやらぬ様子で、ミサキはマサトに駆け寄ってきた。その瞳は、キラキラと輝いている。

「おめでとう、ミサキ! 本当にすごいな!」

 マサトも心からそう思った。いつも明るくて頑張り屋さんのミサキが、彼はやっぱり大好きだ。

「ねぇ、次はマサトも一緒にやろうよ! 私が教えてあげる!」

 ミサキは、そう言ってマサトの腕を引っ張った。彼女の笑顔につられて、マサトの心も自然と弾んだ。

「よし、やってみるか!」

 二人は、再び校庭の真ん中に戻り、羽根つきを始めた。ミサキの元気な声と、羽根の音が、広い校庭にいつまでも響き渡っていた。

 その夢は、好きなミサキと二人きりで楽しく遊んでいる夢だった。目が覚めた今も、胸の奥にじんわりと温かい幸せな気分が続いていた。

 昔は、大体決まったメンバーで、近くの公園や山で遊んでいたのが懐かしい。

 秘密基地を作ろうと、土や湿った落ち葉の匂いが立ち込めるなか、木の枝を運び、笑い声を響かせた。木登りをしては、どちらが早く頂上まで辿り着けるか競い合い、ざらついた木の幹を掌で感じながら、高みを目指した。

 日が暮れるまで鬼ごっこをして、汗だくになって家に帰り、夕飯の匂いを嗅ぎながら今日のできごとを話した日々を思い出す。土の匂い、木々の匂い、そして友達と笑い合った声が、今も鮮明に蘇ってくる。

 特に思い出されるのは、秘密基地での二人だけの時間だ。他のやつらが帰った後、夕焼けが山を赤く染める中、俺とミサキは小さな木の葉の隙間から漏れる光を浴びながら、肩を寄せ合って座っていた。

「ねぇ、マサト。もし、この基地が宇宙船だったらどうする?」

 ミサキがふいにそう尋ね、キラキラとした目で空を見上げる。その真剣な横顔に、俺は少し照れながらも、一生懸命に想像した。

「宇宙船か……じゃあ、俺が船長で、ミサキは副船長な」

 そう言うと、ミサキは楽しそうに笑いながら、俺の肩を無造作に叩いた。

「なにそれ! 私が船長に決まってるじゃん!」

 そんな他愛もない会話を、俺たちは何時間も続けていた。日が沈み、山の景色が藍色に変わっていく。その静かな時間が、とても心地よくて、このままずっと続けばいいのにと、子どもながらにそう願ったことを覚えている。

 最近では部活や塾でみんなバラバラになり、昔のように集まることは少なくなった。それでも、時々時間が合えばメンバーの数人で放課後、公園で遊ぶことはある。しかし、昔のように無邪気に駆け回ることはもうない。ただベンチに座って、他愛もない話をするだけだ。

 学校の帰り道、偶然会った友達と公園のベンチに腰を下ろした。少し冷たくなってきた風が、火照った額を通り過ぎていく。

「なぁ、昔が懐かしいよな……山とか駆け回って冒険してたよな」

 マサトがそう言うと、友達は遠い目をして、深く腰掛けた。

「そうだな……あの秘密基地、まだ残ってるかな」

「だなぁ。なんかつまらねぇ。なぁ、ミサキは?」

 マサトの問いに、友達は少し意外そうな顔をした。

「ああ、陸上部の部活に入ってるから忙しいんじゃないか?」

「マジか……まぁ、あいつに向いてるかもな。走るの早いし運動神経も良いし」

 ミサキがグラウンドを颯爽と走る姿を想像する。夕日に照らされて、短く切った髪が揺れる。いつだって元気いっぱいで、マサトたち男子にも負けないくらい足が速かった。

「お前……ミサキの事好きだろ? 毎回、聞いてくるし……」

 友達はニヤリとからかうように笑った。心臓がドクンと大きく跳ね、顔に熱が集まるのを感じる。恥ずかしさからか、焦ってしまい、慌てて首を横に振った。

「はぁ!? ふざけんなよ。あんな凶暴女ありえねぇって!」

「ふぅん……でも早く彼女欲しいよな。誰か付き合ってくれねぇかな」

 そう言って、友達は空を仰いだ。マサトは何も言えず、その横顔を眺める。沈黙が二人の間に流れ、遠くで聞こえるボールの音がやけに大きく響いた。

 そんな話を三十分ほどして、友達と別れ、一人で公園のベンチに残った。夕暮れの光が、色褪せたブランコや滑り台に影を落としている。さっきまで友達と話していたはずなのに、もう頭の中はミサキのことでいっぱいだった。

 「凶暴女」なんて言ったけれど、本当は全然違う。あんな風に、無邪気に笑うミサキの顔が、俺は誰よりも好きだ。何かに夢中になっている時の真剣な眼差しも、ふいに見せる少し照れた表情も、全部俺だけが知ってるミサキの一面だ。

 彼女の髪から香るシャンプーの匂いを思い出し、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。あの頃の俺は、ただ隣にいるだけで幸せだった。でも今は、ミサキの特別な存在になりたい。このままじゃ嫌だ。そう強く思うと、冷たい風が吹く中で、自分の頬が熱くなっていくのが分かった。

 もうずっと同じメンバーで遊んでたから、今さら「好き」とか「付き合ってほしい」なんて、仲が良すぎて話せない。そんなことを想像するだけで、顔が熱くなる。恥ずかしすぎて無理だ。ミサキと付き合えれば、どんなにいいだろうか。

 とはいえ、毎朝ミサキの通学路に俺の家があるから、彼女がいつも迎えに来てくれる。

 明日も、彼女が家の前に立っている姿を想像するだけで、胸の奥が少しだけ温かくなった。朝が来るのが、なんだか楽しみだった。

 翌朝、インターホンが鳴った。準備は終わっていたので、カバンを持って玄関を出ると、いつものようにミサキが待っていた。玄関の扉を開けると、そこに立っていたミサキは、マサトの顔を見てにっこりと微笑んだ。朝の陽射しを浴びて、彼女の顔がキラキラと輝いているように見える。

「お〜。おはよ」

「おはよっ♪」

 機嫌が良いのか、ミサキはジェスチャー付きで手を上げて、満面の笑顔で挨拶を返してきた。その明るく弾む声につられるように、マサトも自然と口元が緩む。二人は連れ立って、通学路を歩き始めた。朝の清々しい空気が、二人の間を通り抜けていく。

「なん? 機嫌が良いじゃん?」

「ん? 別に〜」

「お小遣いでも貰えたのか?」

 茶化すようにそう言うと、ミサキは首を左右に振ってから、楽しそうに笑う。

「そんな訳無いじゃん〜」

「どうしたんだよ?」

 しつこく聞くと、ミサキは少し頬を赤らめて、はにかむように言った。

「ん〜っと……昨日さ〜……マサトから貰った無くしたって思ってたキーホルダーが机の引き出しの奥に大事に仕舞ってあったのを見つけたんだよね〜♪」

 は? なにそれ……。思わず、マサトは足が止まりそうになった。そんなことで機嫌が良くなるのか? それに、俺からのプレゼントを大事に仕舞ってたって……? その言葉が頭の中をぐるぐると回り、心臓がドクドクと高鳴り出す。

 超嬉しいんだけど……。朝からドキドキすることを言うなよ……。

 ミサキと二人で歩く時間は、他愛ない会話を交わすだけでも、とても幸せな時間だった。しかし、これ以上その話をしていると、頬が緩み、ニヤニヤしてしまいそうだ。マサトは焦る気持ちを抑え、慌てて違う話題を探し、口を開いた。

「……最近、忙しそうだな?」

「まぁーねー。部活あるしね」

 ミサキはそう言って、マサトに視線を向けた。朝の光を映した彼女の瞳は、きらきらと輝いている。

「土日も忙しいのか?」

「ん……部活は無いよ? どうしてー?」

 小首を傾げて聞いてきたミサキの仕草に、マサトは思わず息をのんだ。男の子のように活発で、いつも無邪気に笑う彼女が、ふいに見せる女の子らしい表情。そのあまりのギャップに心臓がドクンと高鳴り、全身の血が一瞬で沸騰したかのようだった。

「なぁ、久しぶりに遊ばない?」

 そう口にした瞬間、緊張で喉がカラカラになるのを感じる。もし、もう昔のようには遊べないと、断られてしまったらどうしよう。そんな不安が頭をよぎり、心臓が不安に打ち震えた。

「え? 別に良いけどー♪」

 てっきり断られると思っていたので、ミサキの意外な返事に、マサトは思わず喜びの声をあげてしまった。

「マジ!?」

「なに嬉しそうにしてんの」

 うわっ、嬉しくて顔に出てた。ミサキにツッコまれ、マサトは顔が熱くなるのを感じる。恥ずかしさからか、慌てて言い訳をした。

「久しぶりじゃん! お前は嬉しくないのかよ?」

 少しでもミサキに喜んでほしくて、そう尋ねる。しかし、返ってきた言葉は予想とは違っていた。

「はぁ? まぁ……少しは嬉しいかなぁー?」

 ミサキは考える素振りをしてから、別に嬉しくもなさそうな表情で答える。その言葉に、マサトは少し、いや、だいぶショックだった。俺だけがこんなに喜んでいるのか……。胸の奥に、冷たい風が吹き込んだような気がした。

 ミサキの言葉に、マサトは少し大げさに肩を落としてみせた。

「なんだよ。少しかよ! ひでーな……」

「にひひ……ウソウソ。嬉しいってばっ!」

 ミサキはいたずらっ子のように微笑み、マサトの背中をポンッと叩いてきた。

 その叩く力は決して弱くはなく、少し痛い。しかし、彼女の顔は、先ほどとは打って変わって、心底楽しそうで、本当に嬉しそうだった。

 なんだ……ミサキも嬉しそうじゃん……よかった。胸を撫でおろす。安堵の波が胸に広がり、さっきまで冷たかった心に、再び温かい血が巡っていくのを感じた。

「痛ぇな。まったくミサキは……乱暴だよなー」

 今度は嬉しさを表情に出さないように、抑えながら文句を言って誤魔化した。

「これくらいで痛がるなよー」

 ミサキは呆れたように笑いながら、もう一度マサトの背中を叩く。その仕草に、マサトはまた少し胸が温かくなるのを感じた。

「そんな乱暴だと彼氏が出来ないぞ」

 そう言うと、ミサキは頬を赤く染め、少し俯いて小さな声で言った。

「うっさい……」

 ん? ミサキが恥ずかしがってる? 彼氏でもできたのか? 頭の中で警鐘が鳴り響く。心臓が嫌な音を立てて、ドクン、ドクンと鼓動を早める。まさか、そんなわけないよな……。

「何だよその反応……彼氏が出来たのか?」

 心臓がドキドキと嫌な音を立てる。マサトは恐る恐る、ミサキの顔を覗き込んだ。

「……な、訳ないじゃん……」

 ミサキはそう言って、視線を逸らす。おいおい……その微妙な反応……なに? 否定はしているけど、少し言いよどんでいる。好きな人でもできたのか? マサトの胸に、ざわめくような不安が広がっていくのを感じた。

 ミサキの言葉に、マサトはなんとか震える声を絞り出した。

「だ、だよな……」

 モヤモヤとした気持ちを抱えたまま、二人は学校に着いてしまった。ミサキは軽く手を振って教室へ向かう。その元気な後ろ姿を見つめながら、マサトは決意する。このままじゃ嫌だ。帰りに探りを入れてみるしかない。

「なぁ。今日、一緒に帰らないか?」

 下校時間になり、マサトは昇降口でミサキを待っていた。声をかけると、彼女は少しだけ顔をこわばらせた。

「え? あ……わたし部活だし」

「んー、待っててやるよ?」

「悪いし。別に……良いよ……」

 明らかに様子がおかしい。いつもなら「おー、いいよ! わるいなー♪」と快く返事をするはずなのに。何か都合でも悪いのだろうか。マサトの胸に、またもや不安がざわめく。

「陸部の部室の近くで待ってるぞ」

「うん……勝手にすればー」

 そう言って、ミサキは小走りで体育館の方へ向かっていった。

「ああ、勝手にするなー!」

 マサトはため息をつきながら、ミサキの後ろ姿を見送った。一体何が隠されているんだろう。不安の渦が、彼の心を支配し始めた。

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